心の引き出しと十界

私って多重人格なのかしら。


小学校6年生の頃に疑問が湧いた。


友達への私の対応が一定ではない。

八方美人?ともなんか違う。

私ってなんだか気持ち悪い。

これは一体・・・


この後、当面の間、謎は解けない。

気持ち悪い自分のまま、歳を重ねていく。


おや?

気づいたのは20代後半だったろうか。


相手が、私の心の引き出しに手を掛ける。


なんでも許せちゃう、私。

妙に乱暴な、私。

男な、私。

ぶりっこな、私。

言葉に詰まって仕方ない、私。

余計なことまで喋る、私。

ちょっと偉そうな、私。

従順な、私。

笑えない、私。

凪いでいる、私。


私の中から、勝手に選び出される。


私の嫌いな私。

私の好きな私。


同じシュチュエーションで同じ問いをされても、相手が違えば私の態度も違う。

たとえば、こう。


あ、今言ったこと、伝わってないな。

と思っても


必死に誤解を解こうと理論的に説明する私。


またいつか、話の中で誤解を解けたらいいな、と楽観的な私。


違うのに・・・でも言えない消極的な私。



そして、私も誰かの引き出しに手を掛ける。

私が相手の感情を引き出している。


自動的に、

相手が自分の引き出しを選ぶのならば、

万人に同じ接し方をとることが不可能である、ということか。


ここまでは受動的な捉え方。


そこからまた数年。

十界に出会う。皆さまご存知?


それは、目から鱗

人の心は10の階層に分かれているのだと。


地獄界  あらゆる恐怖に苛まれた状態。

餓鬼界  眼前の事象に固執する状態。

畜生界  欲望のままに行動する状態。

修羅界  武力を持って解決を目指す状態。

人界      平常心である状態。

天界      瞬間的な喜びを感じる状態。

声聞界  学ぶ状態。

縁覚界  自意識的悟りに至った状態。

菩薩界  仏の使いとして行動する状態。

仏界      悟りを開いた状態。


仏法の一節ですね。

(抜粋なので、興味のある方はご自身で調べてみてくださいね)


全ての人が、この十界を心に持っているのだとか。・・・もやもやするものを、こんなに上手く表現するなんて。素晴らしい。


あぁ!

日々、この10の心が入れ替わり立ち替わり私を作っているのね。

受動的から自発的に変わった瞬間。



お互いに引き出しを引き合う。

相性は、確かにある。

しかし、引き出しの鍵を開けているのは、紛れもなく私自身。


とすれば、私の心は相手次第ではなく、私の中に住むセキュリティ管理者の腕にかかっているというわけ。

ちゃんと育成しなくては。


でもこうやって、心を少しだけでも

コントロールできるようになれたら。

好きな自分がたくさん出てきてくれたら。

瞬発的に湧き上がる感情を、冷静に見ることができたら

この先、なんだか楽しそう。


そう思わせてくれた、十界。


毎日死ぬスタイル

みなさんは、

あの頃に戻りたいと思う時代がありますか?


残念ながら、

私には輝いていたと思えた頃が

思い出せないのであります。


いつの時代を思い出しても

何か足りてない自分ばかり。

そして、いいことも悪いこともまとめて忘れている、イマイチな私。


これからお話することは、一つの視点。

私の歩んだ足跡を、無かったことにするわけではなく。母の顔を忘れたわけでもなく。

過去を疎かにする意味ではないので、誤解の無きよう。


さて、話を戻しましょう。

基本、私が冒頭のような質問を受けたら

決まって答えるのが


「今」。


過去など、殆ど記憶にないことも事実だが

泣いて笑って、たくさん学んできた今が一番いいに決まってるじゃない。


そりゃ、シワも増えたし、白髪染めに変わったし、ホルモンバランスも崩れてガタガタだし、風邪引いたらもう死ぬのかなとか思うくらいキツイけどね。


でもやっぱり今が好き。

毎日やりたいことがたくさんあるから。

それらが叶ってない過去に魅力はない。


人は毎日死ぬ。

昨日の自分は他人。

都合よく嫌なことともさよなら。

昨日の輝かしいこともさよなら。


昨日のことは全部昨日に置いてきた。

今日の私、さて、どうする?


私の場合、自分を見失いやすいから

過去に心を引っぱられるなんて

余計の中の余計。


誰かの心変わりだって

そんなに驚くことでもないさ。


今日もまた、死ぬのだから

今日という一日を精一杯生きたいの。


勇気を振り絞って挑戦したり、謎が解けたり、閃いたり、衝撃!と言えるほど感情を揺さぶられたり、決断が実行に移る時、

もはや、生まれ変わった

と言う表現をしてもいいんじゃないかな。


未練や後悔。

過去の栄光。

そんなのって、今が死んでるみたいで

なんだかつまんない。


過去は確かにあった。

でもそれは、確かに今ではない。


床に伏しても、

私は同じことを思えるのか。

正直、自信はない。


だから、今の私はね。

幸せだってことさ。